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下肢装具の理想と現実

こんばんは、管理人です。

先日装具についての記事を書きました。
それに対し、4年目のPTの方から装具処方について悩んでいるとのメールを頂きました。

それについて自分なりに思うところを書こうと思います。
ただ僕はこの方をみたことがありませんので、
メールから考えられること、仮説を書こうと思いますので、
実際の方とはズレがありかもしれませんのでご了承ください。



以下は
青字:メールの内容
黒字:管理人の私見

です。変換の問題もあり、文字化けしている部分もありますが、なんとなく書きますね。


<症例>
●基本情報:65歳、男性、奥様との2人暮らし。
●疾患名:アテローム血栓性脳梗塞(左放線冠の梗塞)。平成23年10月13日発症。
●障害:右片麻痺(BST上肢?、手指?、下肢?程度)、失語(軽度)、注意障害
●現ADL:病棟T-caneにて自立(装具なし)
●今後の予定:平成24年3月22日に自宅退院予定(屋内裸足にてFREE HAND歩行、屋外T-cane歩行)。その後、当院外来リハビリ予定。
※通院方法が、徒歩(1?の距離を45分程度かけて)+電車+バスにて。奥様とともに通院予定。



という症例を担当しております。
発症から約6ヶ月経過しており、現在、神経的な機能回復は滞っている状況です。
年齢も若く、本人も障害受容と闘ってくれておりますが、まだ障害受容と闘っている状態です。
腓腹筋・後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の筋緊張が高く、
クローヌスが出現しており、筋弛緩剤を内服しています。

歩行機能としては、
立位時の上記筋の緊張が高く、
立脚期では伸張反射にて痙性が高まり、
遊脚期にてすり足になり、ヒールコンタクトが消失し、
前足部から接地してしまい、
また、上記筋の伸張反射を助長してしまう・・・という状態です。

努力性の振り出しを作りたくなかったので、立脚期に重点を置いた介入をしており、
遊脚は「足を上げずに自然に前に出てくる分だけ出す」という感じで歩行は行ってきました。

現在、院内は多少すり足でもADL自立し、
健側機能が高いので転倒はしませんが、
在宅復帰後の屋外生活に転倒の不安を抱いています。
実際に屋外歩行訓練を行うと目に留まる段差にはつまずきませんが、
数センチ程度の段につまずきそうになったりします
(2回目以降は本人が同場所では気をつけてくれますが、初めての場所ではつまずきます)。



***管理人の私見***

いわゆる末梢の固定が強い方のようですね。
文章からは、
・麻痺側の立脚時に底屈筋の緊張が高まる
・その影響が遊脚にまで影響し、踵接地が起こらない
・屋外など、予想が着きにくい環境に不安がある。実際に初めての場所ではつまづくことがある

という3点が気になります。
もし立脚、荷重時の緊張が高まるのであれば、
その仮説を検証するためには非麻痺側での片足立ちで麻痺側下肢をブラブラ振る運動では緊張が高まらないことをみれば分かるかもしれません。

さらにもしそれで緊張が高まらなくても、
振り出しから、麻痺側接地、少しの荷重までを繰り返す中でどうなるかを
自分なら評価すると思います。

そこでも緊張が過度に高まらなければ、
振り出しでの問題はない、と言えるかもしれません。

でもそこで足部の底屈固定が強くなれば、
それは荷重を支持することへの予測が立てられないことが原因かもしれません。

どう体重を支えたらいいのか分からない、検討もつかない、ために
地面に着く足部を過度に固めることで
荷重に応えようとする結果なのかもしれません。


あとは踵接地が起こらないことに関しては、
この方は背屈能力がまずあるのでしょうか?
背屈運動が単独であればできるのに底屈固定となるのか
背屈ができないから足部に力を入れることが底屈筋を高めることでしか反応できないのか

背屈が起こらないのであれば
背屈運動が生まれるための条件を考えないといけないですね。

足部の抗重力コントロールはすごく難しいです。
自分もまだ確信できるような答えはもっていなですけど…

下肢全体を固定的に使うのであれば
感じる重さは下肢全体、

しかし足部の重さに見合った適切で効率的な
最小限の運動を起こすには
足部の重さを感じ取らないといけない。

足部の重さを感じ取ることは
下肢全体の重さに比べれば非常に軽く
感じ取りにくい、という印象があります。

片麻痺患者さんの
手関節の制御能力が改善しにくいにのも
これと同じような原因を持っていると考えています。


また初めてのわずかな段差ではつまづくことがある
ということから
この方は振り出し時には麻痺側での制御でまたぐ、という使い方をしていないのかもしれません。
骨盤や非麻痺側の股関節を使って、まるで大腿義足を前に出すように
勢いで振っている”モノ”のように扱っているのかもしれません。

それは麻痺側下肢を、自分の下肢として感じる条件を満たしていない、のかもしれません。

******


で、RH医・装具士・本人とともに底屈制動を目的に短下肢装具(タマラック継ぎ手付きプラスチック装具)を検討していますが
、本人の受け入れが不十分で購入決定はしていません

。デモ装具を着けて歩いてみましたが、
すり足は軽減しますが、遊脚期での体幹・骨盤の代償が強くなります。

本人は「装具着けて歩いたら治るならいくらでも着けるが、そうじゃないなら着けずに歩きたい。装具を着けると歩きにくい。」と言います。

その意見はすごくよく解るし機能回復を諦めていない患者さんの言葉が心に響きます。
実際、先生がおっしゃているように正常方向とは逸脱し、立脚を物理的に固定するため重心移動も大きくなるのです。
RH医・装具士は「転倒予防を目的に早く作った方が良いのでは」と言いますが、PTとして機能と歩行とリスクと装具と患者本人の気持ちを考えた時に強く勧めることが出来ない状況です。

また、装具に関しては療法の一つとして装具療法があると考えていますが、
あくまで対処療法として足りない機能を補うものと考えており、
2次障害の予防や機能補助などメリットと、患者さんの情報を探し拾う作業の妨げになったり代償動作を生み出したりなどのデメリットとを比較し、メリットの方が明らかに大きければ必要だと考えています。


******

すり足は軽減しますが、遊脚期での体幹・骨盤の代償が強くなる。

→これはなぜなんでしょうか?まずはこれを明確にしないといけないですね。そしてその前に…

「装具を着けると歩きにくい」

→この訴えが非常に大切です。足りない機能を補っていれば、多少なりとも歩きにくさは軽減するはずです。でもこの方には逆に歩きにくいという発言が出ています。この装具はこの方にとって果たしてどんな役割を果たしたのか?またこの方にとっての足りない要素とは何か?のこちらの評価が間違っているのかもしれません。

 一宮勉強会でも参加されたセラピストに話しましたが、この方の求める「歩く」とはどうゆうことなのか?というニードがまず明確でないと歩行訓練や歩行の改善を目的としたリハを進める中で、何を目標にしたら良いかが決まりません。

この人の求める歩行とは何か?この人が良いと感じるのは、何のことか?をまずは明確にする必要があると思います。


******


患者さんは機能回復をまだ諦めていません。
PTの自分も諦めたくありません。
最近、患者さんから、足趾の状態や重心移動についての質問が増え、
患者さんも自分の身体状態に注意が向けられるようになってきています。
以前は、そのような状態には気づくこともできず
、患者さんからは「右と左と感覚はかわらない。そんな風になっていない。できるからいい。」などの発言ばかりでしたが
最近は「どうやったら良くなるのか。足趾が曲がってきた、今は伸びている。右に重心をかけると左より少し怖いんだな。」という発言に変化しています。

今が患者さんの動きの結果を変えられるチャンスなのに、上手くヒントを与えられずに申し訳ないばかりです。

だから装具も迷っています。
通院時のみ装着で購入してもらおうかとも考えましたが本人の受け入れが悪いのに高い金を払わせるなんておかしな話だと思います。
しかし、転倒のリスクがあるのに装具なしで退院させて通院させて良いのかもわかりません。
機能回復のチャンスを奪うことになるかもしれません。・・・・。



******

この患者さんは、ご自分の変化に気づいてきてるようです。まだ身体に変化がみられています。これは素晴らしいことだと思います。

ただこの方は足部で感じてはいますが、足部自体で制御はしていないのかもしれません。荷重を非麻痺側での押しつけや体幹を麻痺側に傾けることで重さをかけた結果、足趾が伸びているのなら、それは重さによって強制的に足趾が伸張されたことを伸びた、と感じることかもしれないです。
足趾の緊張が高まらないように上手く足部や足趾を使っているのではないかもしれません。

足趾が伸びた、というこの方の経験は何をもって言っているのか、を考える必要があると思います。



と個別に思う所を書いてみましたが、
以下は全文を読んで思うところを書いてみます。

まずはセラピストが歩行への悪影響を及ぼすような恐れがあることを、まずはこの方自身が理解しているのでしょうか?
この方は自分の歩いている姿や足がどうなっているのかを知っているのでしょうか?
ビデオをとって見てもらってもいいかもしれないですね。

セラピストの思いと
患者さんの思いがずれていれば
どこかで問題が生まれます。

装具処方や
退院時のゴール
歩行補助具の選択や使用の有無
家族の介助の有無

などですね。


また装具が現在制御することが難しい要素を助け、
残存した機能が活用しやすくなるのであれば
患者さんは歩きやすい!と感じるはずです。

歩きにくい、というには何らかの理由があります。

その理由を見つけることが大切ですね。


明らかに装具ありの方が
良い歩き方になるのであれば
それを患者さんにビデオなどで見せてあげてもいいかもしれません。



装具歩行の延長には正常歩行はありません。


しかし身体機能が上手く使えない、
身体の元々の使い方からは逸脱した装具なし歩行の延長にもまた正常歩行はないのだと思います。


こちらの装具の処方の目的、今の歩容にとってどんな影響を及ぼすか
そしてそれが将来的にもどんないいことがあるのか、をまずは明確にすることが大切だと思います。
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