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ADL向上=患側の筋力の向上ではない、患側筋力強化=患側の参加でもない、しかし患側の参加→患側筋力向上ではある

優秀なエンジニアは、橋を設計する前に、
まずその場所に加わる力などを理解しようとする。

良い教師は、生徒のレベルを把握してから教える。

そして、良い生徒は、応用する前に理解する。

         スティーブン・R・コヴィー



どうも、Bridge管理人です。


12月の勉強会にご参加頂いた方から感想のメールを頂いております。

気を遣ってか、否定的な感想はありませんでした(笑)

講義スライドのPDFをお送りしましたのでご確認下さい。



では本日の内容です。

ADLの向上=患側筋力の向上 ではない
患側の筋力強化=患側の参加 でもない

しかし

患側の参加 → 患側の筋力向上 につながる

というお話です。


本日、新人さんの担当している
大腿骨頚部骨折の症例のリハビリを行いました。

歩行は歩行器で自立していて、来週には退院が決まっている方です。

確かに歩いてはいるんですね。転ぶことなく。
トイレも自分で行けています。

その方の訴えは
「歩くと、右(患側)の膝が痛い」
とのことでした。

歩行を観察すると確かに右の膝は外反位、股関節は内旋位で支持しているんですね。

膝が内股ですけど、怪我する前からですか?と尋ねると

「そんなことはなかったよ」

と………

じゃあ多分、今回の骨折後にできたパターンではないかと管理人は勝手に考えます。


歩行を再度観察すると
振り出し時にも股関節内旋位・足内反位での振り出しとなっています。

また右立脚や立位姿勢を観察しても
重心は常に左側にあり、骨盤は右側が後方に引けており、股関節屈曲・内旋・やや外転支持となっています。


ここで2つの可能性が出てきます。


振り出しが内旋位での振り出しとなるために股関節内旋支持となり、その次の右立脚期でも十分に右足底上にまで重心を載せられないために、右単脚支持期には重心が左側へ落ちる方向へと働き、結果として膝外反(下腿が内側に倒れる)での支持となる


立脚期に右下肢の上に重心を持ってくることができない。痛みへの恐怖や股関節での骨盤制御ができないことから右下肢上に重心を持ってくることができない。お尻も引け、左寄りの重心となってしまう。股関節としては屈曲内旋位での支持。その状態から右下肢を前に出そうとするために、屈曲・内旋位のままの振り出しとなってしまう。


要するには
振り出しが悪く、その肢位での支持となっているか、
支持の仕方が悪く、その肢位からの振り出しとなっているか?

ですね。


ということでまずは
臥位にて下肢の使い方を見ようとSLRを行ってもらいました。

何でかって?

荷重下では痛みの恐怖があるから、まずは荷重でない振り出しの評価から始めたほうが患者さんのストレスが少ないかな?という理由です。


ということでまずは健側の左を挙げてもらいます。
股関節が過度に捻れることなく、挙上できました。

しかし患側…

お願いします、というと
踵が持ち上がることなく…股関節は内旋し膝も屈曲しました。

他動にて踵を浮かせて、下肢の重さを介助にて取り除くも、挙上は困難…

どの辺りが力入ります?と尋ねると

「ここ」と内側ハムストリングスの停止部、膝裏の内側を指さしました。

触ると確かに硬いんですね。


再度健側の左下肢でSLRを行ってもらい、どの辺りを使っているか尋ねると

太腿の前あたりとのこと。

右下肢でSLRを行おうとしてもらう際、左下肢と同じ
太腿の前に力を入れてもらうよう伝えるも、力が入ってくる感じはなし…

内側ハムストリングスばかり力が入ってしまう。

ということで介助し下肢の重さを減らし、
さらにもう一方の手で大腿広筋群を強めに把持しました。

大腿広筋を働かせたい、ということと、
大腿前面へと注意を向け、大腿前面を使ってSLRを行ってもらおうというイメージで介助します。

丁度、担当の新人さんが見学に来たので、股関節前面の筋を触診してもらいました。

介助なしでは、大腿直筋とTFLばかりが働き、腸腰筋は全然触知できないとのこと。

そこで前述した介助をしながら行うと、腸腰筋の収縮が触知できるようになりました。

そこで何度かSLRを促すと徐々に腸腰筋は働きやすくなってきます。


しかし重さを減らす介助を減らすと徐々に大腿直筋とTFLの働きが強くなってくる感触があったので、今日のリハ時間内に、SLRを自己にて真っ直ぐ上げるのは難しいと判断。

膝を曲げた状態での股関節の屈曲運動へと課題を落とします。

初めは股関節内旋+屈曲ですが、前述した介助の中で運動していくと、徐々に腸腰筋での大腿挙上ができ、2,3分ほどで自己にて股関節屈曲(下肢挙上ー膝屈曲位での)が可能となりました。


そして再度背臥位にて徒手的に下肢のアライメントを修正しながら(内側ハムストリングスの過活動が出ない範囲で)足底から股関節に向け自分が力を加えました。
荷重に対する支持能力を見るためです。

その場合には痛みは出ないんですね。

ということは下肢関節へと荷重の力が加わることで痛みが出ている訳ではないと自分は判断します。

そのアライメントが荷重下では保てず、大腿・下腿で捻れてしまうことでストレスがかかっているようです。


その後歩行器支持での立位にて評価を進めます。

上肢の支持があれば痛みはない。しかし右膝外反、股関節屈曲・内旋支持…

触診では臥位同様
内側ハムストリングスの過活動

大腿外側の筋はタルンタルン…

外側が働いておらず、内側ばかりで頑張っている。

痛みへの不安もあり、重心はすぐに左へと逃げようとする。

その結果膝外反方向へと崩れ、膝内側優位に支持している可能性が考えられました。

じゃあ内側ハムストリングスが硬いから、ほぐせばいいじゃん!!
と昔の僕なら考えたことでしょう。


でも考え方によっては、どこかが弱いのを内側ハムストリングスが過活動して助けている、可能性もあります。

無意識にもその過緊張により大腿ー下腿をつなぐ役割をしているのかもしれませんよね。

その頼りをとったら、何が残るんでしょうか?

他に頼る部分がないから、そこが頑張っている。

その頼る部分をとっても問題は解決しない。
それどころか、他の問題が勃発するだけかもしれません。


だってその後輩はROM訓練やストレッチをしているのに、痛みは消えてないんだから。


ということで立位にてさきほどタルンタルンだった大腿外側を強めに把持しました。

そうすると膝の痛みが軽減しました。

大腿内外側の筋の張りのバランスがとれて、膝に働くストレスが減ったのかもしれません。

単純に大腿部に注意が向いて、膝の痛みへの過度の注意が減ったからかもしれません。


それらはあくまで可能性ですし、仮説です。


患者さんにとって大切なのは

痛みを感じず、立っていられること。


大腿外側の張りを介助で作ることで
痛みは軽減しました。

何度かそのまま荷重を繰り返すことで、大腿外側の筋の張りが出てきました。

そのまま大腿外側を介助しながら
歩行器歩行を行うと痛みは生じず、歩行ができました。


でもまだ介助なしでは難しいです。

だってSLRもできない下肢ですから。

自己の下肢の重さを支持できない下肢が、上半身の重さを片脚で支持できるとは思えないんですね。


自分の記憶ではこの患者さんは比較的早期から立位・歩行訓練を行っていました。

そして歩行器歩行は自立を獲得することができました。

しかしSLRは全くできません。


ADLの自立度の向上は患側の筋発揮の向上にはそれほど寄与しなかったようです。

人によってはADLの自立により病棟にて歩いて過ごしているうちに筋力がついて歩行も良くなる人もいます。

でもこの方はそれにはあてはまらないようです。


痛みなく、荷重を支持できる経験

それにより

患者さんは不安なく、患側の下肢に荷重を載せることができます。


その経験を作らなければ
不安は残り、無意識に代償的・逃避的になってしまう方もします。

そのような方ではADL訓練を行ってもその部位を使わないように動作を行います。

そのような方にはADLばかりを行っても、患側の参加は得られにくいように思います。

また筋トレばかりを行ってもそれが動作場面で使われなければ、リハビリの時間内だけの筋発揮となり、十分な筋力の強化が得られにくいはずです。

本人が不安なく使えることに気づく、そうすることで生活への汎化が期待できます。
そうして使っているうちに使っている部位の筋発揮が向上し、結果として筋力がついてくる。

そうなると良いなと自分は考えています。


患側の参加と生活への汎化、ここを考慮してリハビリを進めることが大切だと再認識した今日でした。
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