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運動麻痺に対する治療戦略と実践① リハビリの現状とその中でできること+「量」と「質」の量を考える

最近、脳卒中患者さんへのアプローチを中心にお話させて頂く機会が増えています。
本当にありがたいことです。


過去のセミナーなどの内容を少しずつアップし、
自分なりに思うことを書いていこうと思います。

皆さんと脳卒中のリハビリに対する思いや考えなどを共有し、もっと何かできないのか?一緒に考える機会になれば幸いです。

シリーズでちょこちょこ書いていこうと思っています。
マメではないので、更新は気長にお待ちください(笑)

ではでは…



■リハビリの現状と、その中でできること

近年、脳卒中後の運動麻痺の回復メカニズムが明らかにされてきています。

ではそれらの知識をどのように臨床に活かしたらいいでしょうか。


現在の医療制度では入院期間には限界があります。
急性期病院での在院日数も短くなってきており、続く回復期病院でも算定日数の壁があり、いつまでも機能回復にだけこだわってリハビリを続けることは難しい状況にあります。

さらにその後の生活期での外来リハビリや訪問リハビリは、6~9単位を実施していた回復期と比較すると週数回、しかも数十分という頻度の激減という問題があります。


最近ではリハビリに特化したデイサービスや機能向上を目指した訪問リハビリや実費でのリハビリを提供する企業も立ち上がってきています。

それでも入院している時のように、毎日リハビリが提供される環境にはないのが現状だと思います。


ではその中で私たちは何ができるでしょうか。
機能回復を目指したリハビリを進めていくためには大きく3つのポイントがあります。

①「量」と「質」の確保
②回復の時期に合わせた治療戦略の計画と実践
③機能だけでなく生活と心を変える



■量と質の確保

神経ネットワークの再構築には量、すなわち反復練習が必要です。

昨年名古屋で行われた回復期リハ病棟協会の全国学会でも機能回復やADL向上における「量」の大切さを強調さ れていました。

吉村先生(熊本リハ病院Dr)は、回復期リハ病棟から自宅退院直後の脳卒中患者において、集中的な立ち上がり訓練により 65%の患者に歩行能力の向上がみられた、と報告していました。

これは、回復期リハにおいてセラピストが機能改善にこだわるのはいいが、基本的な筋力や体力の向上といった部分を軽視していないか、とのメッセージだと感じます。



■「量」の問題

上記のメッセージでも量の不足を訴えています。

平成24年 国民健康・栄養調査結果の概要」で発表された一日の平均の歩数は60代の男性7307歩、女性6705歩、70代以上でさえ男性5263歩、女性4323歩です。

退院後に以前のような生活を送る、というリハ目標を掲げた時に、退院前にこの目標は達成できているでしょうか?

病棟での歩行自立であっても、トイレや食堂、浴室までの歩行しかしていない患者も多くいます。

短距離が安全に歩ける歩行自立は、病前の日常生活を1日過ごせることとイコールではありません。

しかし退院後の生活イメージがついていない患者さんは、病院でも歩けているから、退院後も(病前みたいな)生活ができると思っているかもしれません。

そのためにもセラピストができるだけ似たような場面でのリハ(1時間寝ることなく、できれば座ることもなく歩行や立位での調理、洗濯)を行い、患者さんに生活イメージ (どのくらいの時間動けるのか、疲れてくるとどうなるのか) をつけてもらうような関わりも必要だと思います。


そして量の問題はリハ時間だけでは圧倒的に足りません。

生活にどれだけ落としこむか、が大切です。

そうでないと患者さんはリハをする(受ける)と良くなる、とリハへの依存が生まれるかもしれません。

退院が迫ってくるともう少し退院を延ばせないか、外来リハを続けてくれないか、などの訴えが聞かれることになるかもしれません。

もちろん必要性がある場合もありますが、
自分の身体は自分で維持・改善・調整をするというスタイルを定着できることが理想だと思います。


量の問題を克服するには病棟生活での活動が必要です。
ここでは省略しますが、時間のある方は私のブログ記事

●回復期リハ病棟の主役は?

●入院中のリハビリで退院後の生活の準備ができていますか

をご参照頂けますと幸いです。


量の確保により、患者の全身の廃用の要素の改善が期待できます。
廃用性筋萎縮の改善が図られるだけでも、患者さんの異常パターンは軽減することがあります。
患者さんの異常バターン は麻痺や手術による痛みは筋発揮といった問題はもちろん存在しますが、臥床や不動、不活動といった部分によって生じた廃用も影響しています。

その廃用の部分を異常パターンだと勘違いして、活動を制限してしまえばより廃用は進むことになります。

今一度自分たちの関わりは量を確保できているのか、
量の問題が質にも影響していないかも見つめ直す必要があると思います。


日本においては片麻痺患者における筋トレは痙性を増悪させる、との意見がありますが世界からみればそれは珍しいようです。
Corti(2012)の報告では脳卒中片麻痺患者に機能的課題訓練と筋力トレでの上肢機能回復を比較したところ、筋トレの方が代償動作が少なく、より正常運動パターンを導いたとしています。
前述したGraciesの不動が 痙縮を悪化させる、という報告にもあるように、

悪化するから動かさないのではなく「動かさないから悪化している」という発想の転換も必要かもしれません。


では量を確保するだけで良いのでしょうか。

街を歩いている、または退院後外来に来る片麻痺患者さんを見ても麻痺は自然回復するようには見えません。
やはり機能回復は、量を確保するだけでは十分回復しないようです。


セラピストの役割は、活動の量の確保ではなく、ある活動においていかに麻痺側の参加を促せるかだと考えています。

麻痺側の参加を促すことができれば、病棟や在宅生活においてADLや立ち上がり、歩行訓練など活動量を上げるための取り組みを行う際に、「良いパターンを、より多く」行えるチャンスを増やすことにつながるのではないでしょうか。


長くなりすぎました…(笑)
最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。

次回は質の問題を考えます。




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